

昨日は昨年公開された映画『IT』を見た。原作者の『スティーブン・キング』はボクの大好きな作家の一人。
原作も読んでいて、ボクは内心、最高傑作だと思っている。原作は文庫本で四分冊。かなりのボリュームである。だから期待して見た。おもしろかった

『IT-それが見えたら終りー(スティーブン・キング)』(映画)

1990年にTVドラマ化され、カルトなファンを得た作品でもある。
良く比較されるのは「スタンド・バイ・ミー」であるが、これを想定し比較すると、「何だろう」という気持ちになるので、お勧めしない。
場所は架空の街「デリー」、時代は1980年代。実はこの街では27年ごとに陰惨な事故や多数の子どもの失踪事件が起こっている呪われし街なのだ。その呪いの主体は『ペニー・ワイズ」と言われる、ピエロの姿で登場する超越的存在。人の恐怖をエネルギー源としている。原作では太古の昔からこの地に存在していたとされる。ピエロの姿も子どもが恐怖しやすい姿を演じているように思われる。(太古にピエロはいない!)、こいつが「IT」だ。
主人公の「ビル」も弟の「ジョージー」を『ペニー・ワイズ』によって「行方不明(殺害)」とされている。そして、彼の前にもピエロは登場し、彼の弟を失った自責の念に迫ってくる。
主な登場人物は、「ルーザーズ・クラブ(負け犬クラブ)」といういじめられっ子たち。皆が皆、トラウマを抱え、ピエロに遭遇している。その彼らが一致団結し、『ペニー・ワイズ』に恐怖を超えて立ち向かっていくのがメイン・ストーリーになる。
弟の死によって吃音症を患うビル。
過保護な母親に過剰なまでに支配される喘息のエディ。
暴力的な父親に性的な意味も含めてDVされるベヴァリー。
ユダヤ系であるが、その世界で落ちこぼれているスタン。
黒人に対する差別と火事で両親を失ったことをトラウマとしているマイク。
おしゃべりで眼鏡だがピエロに恐怖しているリッチー。
肥満でいじめられている転校生のベン。
どこにも居場所がなく、それぞれに心的外傷を抱えている「負け犬たち」に、容赦なくそれを抉り、捕食しようとする
『ペニー・ワイズ」、恐怖との対決と克服こそが、この映画のテーマだ。

普通のホラー映画と捉えると肩透かしな感じかな。
けれども、人の「恐怖心」に付け込む、この「エグさ」を考えると、日常的にかなり怖い。さらに、大人たちの冷酷さ、無関心さには戦慄する。無関心どころではない。
実は原作の本当の読みどころは、さらに27年後、大人になった彼らが、また現れた『ペニー・ワイズ』に再び対峙していくのがメインなのだが、ここには、悲劇もあり、信じられないようなエピソードも披露されており、賛否は分かれるところなのだが・・・。
まあ、原作や90年版も実見することはお勧めする。ちなみに、ボクが唯一鼻に付くなと思った子ども達の悪態に、ペニスの大きさの話題が多いのは、「ペニー・ワイズ」に寄る事なのか・・・。
モチーフに「井戸」が登場するのだが・・・
「IT」は「Id」であり「井戸」なのだ・・・ 参照「村上春樹」
お休みなさい。
追記 「大人篇?」が今年作られるようです





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